舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜
「ううん…ちょっと自分で考えてみる」


「そうか。あまり、思い詰めるなよ。答えが知りたくなったら聞きにきてもいいんだぞ」


そう言ってカズさんはまたレッスン場に戻って行った。


こんなはずじゃなかった。


私、いつも通り踊ったはずなのに、どうして…


悔し涙を堪えて、レッスン場に戻ったらすでに全幕を終えて、みんなが談笑しているところだった。


私がレッスン場に入ると一瞬にして静かになり、みんなが私の方を見ていた。


私は顔を伏せたままイワンさんの前まで行き、「ありがとうございました」と一言挨拶をして、さっと着替えて足早にレッスン場を後にした。
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