舞姫〜貧乏ﾊﾞﾚﾘｰﾅのｼﾝﾃﾞﾚﾗｽﾄｰﾘｰ〜

まだ体が重く、駅にたどり着くのもやっとだった。



何とか電車に乗り、たどり着いたのはWINGのある眠らない街だった。


もうすでに営業が始まっている時間。


どうしてここへきてしまったのかもよくわからないまま私は歓楽街へ続く道を歩き、ガクガクの足で裏の階段を上りきった。


重い鉄の扉を押して、倒れるようにして中に入り、私はそのまま座り込んだ。



「奈々さん？！どうしたんですか？」



保っちゃんが駆け寄ってきて、そのまわりを厨房スタッフが囲む。



「誰か怜音さん呼んでこい！」


「は、はい！」


バタバタと足音が聞こえ、意識の朦朧とする中最後に聞こえたのは「奈々！」と呼ぶ怜音の声だった。