舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜
「いっぱい泣いた?」



前髪にあった手は頬へ移り、親指で目の下を摩る。



少しヒリヒリとするそこは誰がどう見ても泣き腫らした目だってわかるんだろうと思った。



「怜音…ごめんね…」



もうたくさん泣いたはずなのに、また涙が込み上げてきた。



自分のふがいなさと、悔しさに。



「私…ちゃんと、チャンス掴みたかったのに…全然ダメで…せっかく応援してくれてるのに、期待に応えるようなことできなくて、ごめんね…」



私はそれ以上何も言うことができなくて、ただ涙をこらえることしかできなかった。


< 128 / 217 >

この作品をシェア

pagetop