舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜
「そんなことで泣かなくていい」


怜音は私の肩を抱き寄せると優しい口調でそう言った。


「奈々は自分のためにバレエをすればいいんだよ。俺が応援してるからとか、そんなことはどうだっていいんだから」



「そんなのダメ…私、怜音に借り作ってばっかりで、何も返せてない…」



そういうと怜音は私の顔を見て、何か思い付いたような顔をした。



「じゃあこれでチャラにしよう」



「え…」



怜音が私の顎と後頭部を支えたと思った瞬間顔が近づいて唇が重なった。



一瞬わけが分からなくて、涙も止まり、私はカチカチに固まってしまっていた。


< 129 / 217 >

この作品をシェア

pagetop