舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜
「今までの貸しはこれでチャラだ」


唇をほんの少しだけ離してしゃべるから、声の振動が唇から伝わってくる。


「な…んで」


「だって、今すぐもらえるもの、これしか思いつかなかったし」


「な、なにそれ!」


「あ、もう元気じゃん。そんだけでかい声出たら大丈夫だ」


そういって怜音は笑った。


キス、しちゃった。



ホストの中のホストと。



きっと怜音にとってはなんら深い意味なんてない。



だけど私には、十分すぎる程意味のあるキスだった。


キスされて、怜音のこと好きだって、確信してしまった。


絶対に好きになっちゃいけない人なのに…
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