舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜
昨日、ここで私は何時間も同じ振りを倒れるまで踊り続けた。


あれだけ人がいたのに、今日は広いレッスン場に一人、ぽつんと立っているのが少し変な感じ。


バーレッスン、センターレッスンを一人で終え、いよいよ昨日の金平糖の精の踊りを踊ろうと、自分で音楽をかけた。



すっと息を吸って指先にまで神経を研ぎ澄ませる。


昨日、私に足りなかったものは何だろう。


確かに、目の前の公演に集中しなくてはならないのに、スカウトされるかもしれないという雑念はあった。


それがバレエに出ていたんだとしたら、すごく恥ずかしいことだ。



こんなにバレエのことを考えたのは、進路を決める時以来だ。

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