舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜
私の未来は、バレエとともにある。


高校を卒業した時、そう信じてバレリーナになるという道を選んだ。


昨日の疲れがあるけれど、そんなことは気にもならない。


金平糖の精になりきって、曲の最後まで踊りきった。


最後のポージングのあと、ふと入口の所に人影を発見し、息をのんだ。


そこにはカズさんとイワンさんが立っていた。



「まだ、ダメだな。君の金平糖はまだまだ未完成。僕は男だけど、君より綺麗に踊ることができる」



イワンさんはそう言って私に近づいてきた。


そして、私の手を持って指先の形を整える。


「長い指を持っているんだから、もっと指先まで集中して。思っている以上に伸ばしてみる。こう」


「は、はい」


その様子をカズさんはバーにもたれながら、腕組みをしてみていた。

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