舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜
「こんなの着たの初めて。別人になった気分」



私がそういうと極上の笑顔で返してくれる怜音。


私は客でもなんでもないんだよ…


なのにどうしてそんなに優しくするの?


その笑顔を見つめていると急に表情が曇り、細い骨張った指で頬を撫でられた。



「どうした…」


その声に私はぎゅっと目をつぶった。


「そんな顔するな」


そういって怜音は私を抱き寄せた。


どう思ってるんだろう、私のこと。


ただ、夢を追いかける私を応援するというだけなら、こんな風にされると辛い。



だけど怜音が応援するかわりに何かを求めるような人じゃないことはこれまでの振る舞いでよくわかっている。


じゃあ一体、私と怜音の関係は何?


ただの経営者とスタッフ?




< 175 / 217 >

この作品をシェア

pagetop