舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜
「ごめんな、奈々」


苦しそうな声が耳元で囁かれ、私は体を離して怜音の顔を見た。


「怜音…」


「お前を…どう扱えばいいのか…わからない」



見つめられた怜音のライトブラウンの瞳に私が写っている。



「客じゃないお前に、自分がどうしてこんなに入れ込んでるのか、よくわからない」




初めてみる表情に私は戸惑った。



こういうとき、どうすればいい?


こういう経験の少ない私は怜音の瞳を見つめかえすことしかできなかった。


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