舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜
熱いシャワーを浴びて、バスローブに袖を通し洗面所を出ると、ソファーに座っていた怜音が私と入れ違いに洗面所に入って行った。


ふうっとため息をついて、窓に近づく。



ホストだし女慣れしているんだから、女の子の扱いは本当に上手。



怜音に近づけば、簡単に落ちてしまうことは最初からわかっていたこと。


だけど、私は怜音の客ではない。


怜音も、客ではない私をどう扱えばいいのかわからないんだ。



客なら、仕事だと思って割り切って付き合える。


こつんと窓におでこをつけて、そこに映る自分の顔を見ると、今まで見たことのない自分がいた。


自分でもわかる。


私、今、恋してるって顔だ。
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