舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜
「ものすごく、お前を抱きしめたいんだけど」


「え・・」


私が聞き返す前に、怜音は私を抱きしめていた。


ギュッと引き寄せられ、息をするのもやっと。


壊れそうなくらい抱きしめられているのに、苦しくはなかった。


むしろ、ホッとしていた。


あのまま、気まずくなったまま、怜音に避けられたらどうしようなんて考えた。


だけどこうして、怜音はまた私を抱きしめてくれた。


もう、関係がどうとかそんなの考えないでおこう。


怜音は私にバレエと向き合う時間をくれた人。


それだけで、十分じゃないか。


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