舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜
「奈々の前じゃ、ただの男になれそうだからさ…ホスト怜音じゃなくて、ただの矢吹怜音として、お前のそばにいたい」


「怜音…」


「お前は、どう?」


そう言って怜音はわたしの頬に手を伸ばした。


その温かい手が触れると、私の目からはぽろぽろと涙がこぼれていく。


「怜音の・・彼女にして・・ッ」


私がそう言った瞬間怜音は私を抱きしめた。


彼女になってしまった。



こんなホストの中のホストの。


だけど、信じてる。


日陰にいた私を、日の当るところへ連れてきてくれた怜音のこと、信じてる。





怜音は、私にとって光だった。





眩しくて、温かくて、キラキラした、光のような存在だった。


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