舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜
「すごく、うまく切れていると思います」


「店に出せる?」


「え?ああ…そうですね。実際保(たも)っちゃんのフルーツって色気ないですし。こっちの方が可愛いというか、美しいです」


「うん。じゃあ決まり」


「わかりました」


2人の会話についていけず、私はきょろきょろと首を動かしているだけだった。


怜音は私にスッと手を差し出し、口を開く。


「うちで働いてくれませんか」


「え?・・・ええ?!」


「厨房スタッフって形で、まあフルーツ専門でいい。あとは皿洗ったり、グラス洗ったり」


「あの…私、バイトできる時間ないですし…」



そもそも前のバイトを辞めた理由がそれだったのだから、今バイトを紹介されても困る。

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