舞姫〜貧乏バレリーナのシンデレラストーリー〜
「奈々さん、すみません!」



「え?!」



涼介は私の手を掴むと、全速力で走りだした。


早くて足がもつれそう!


でも私の足じゃ間に合わないから、必死で涼介さんについて行った。


「あ、あと2分…早く行ってください」


コンコースまで涼介が引っ張ってくれたおかげで、何とか間に合った。


改札を抜けて振り返ると、涼介はこちらに手を振ってくれた。


「あ、あの!」


私がそういうと、涼介は手を振りながら首を傾げた。


「怜音さんに、よろしくお伝えください!」


そう叫ぶと、涼介は頭の上で大きくまるを作って笑った。


私はその笑顔を見ると、終電に飛び乗った。



新しいバイト先、そして新しい出会い。


満員の終電だったけれど、すがすがしい気持ちで家路についた。


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