レクイエム<鎮魂歌>
息を切らして玄関先に行くと兄、フィオーラが私を待っていた。
「兄様、遅くなってしまってごめんなさい。」
待たせてしまったと思い、駆け寄りなが謝った。
「モニカ、そんなに息を切らしてどうした?」
こちらを振り向いた兄の目に映った妹は息を切らして駆け寄ってきたので驚いたのだろう。
「部屋に忘れ物を取りに戻っていたら遅くなってしまったものだから……」
「それならここに来てから使用人に取りに行かせればよかったのに。」
「それもそうなんだけど、こっちの方が早かったから。」
苦笑しながらそう返事をする。
「それより、早く出発しましょう。」
だが、一刻も早く出たくて兄を急かした。
「そうだね、もう荷物も積めたし急ごうか?」
そう言って大きい手を差し出してくる兄に私は安心したのだった。