レクイエム<鎮魂歌>
昔、兄はよく私と一緒に寝てくれていた。
4歳も歳上の兄、フィオーラはいつも頼りになり、モニカは寝れないとよく兄の部屋に行っていた。
その頃はモニカはわずか4歳だった。
兄は8歳。
なのに、その頃の事を覚えているようだ。
「でも、このごろは―――」
「―――そう言って倒れたのはごく最近だぞ。」
私の言葉を遮り口調をフィオーラは強めた。
その口調に私はたじんだ。
弁解の余地もない。
「ほら、クッションもあるし、俺の膝に頭を乗せてもいいから。」
だから寝ろと言う。
クッションを手渡しながらフィオーラは世話をやく。
「大丈夫なのに……」
兄に聞こえないようにボソッと呟く私。
だが、おとなしくクッションを受け取り、膝の上に置いたそれに腕を回し頭を埋める。
苦しい。
私は心配してほしい訳ではない。
けれどそれを兄にはっきり言うことはできなかった。