レクイエム<鎮魂歌>
だが、兄は首を縦には振らなかった。
私はそれを見て目を見開く。
それは一緒には残らないという意味を表している。
「兄様は残ると言うの!!なぜ?!」
理由を問うても何も返ってこない。
「……だったら私も残るわ!!」
痺れを切らしたモニカはそう叫んだ。
「それはダメだ。モニカは逃げろ。」
「嫌よ!!私も残るわ。私だって闘える。」
モニカは兄ほどではないけれどかなり強いのだ。
幼い頃から兄が武術の稽古をこっそり隠れて見様見真似で覚えてきていたのだ。
かなり我流ではあるが。
兄がそれに数年前に気づいたので、両親には秘密にしてもらっていた。
「ダメだと言っている。お前は逃げろ。」
「なんで!どうしてよ!!」
私は泣きじゃくりながら首を振った。
「どうしてもなんだ。……ごめんな―――」
―――トン
首筋に凄く強い衝撃があった。
「ど…うし……て―――」
―――モニカが意識を保っていられたのはそこまでだった。