レクイエム<鎮魂歌>
男が言った言葉に、女の方ははげしく同意をしめした。
「よね!!あたし達に何も言わないなんて最低よ。何年の付き合いしてると思ってんのかしら!」
「まあ、いいじゃないか。だから、こうして仕返しもとい、いたずらをしに行くんだよ。」
男は微笑んでいながらも黒いオーラを漂わせている。
マントでほとんど身を包んでいるため、あまり良く見えないのだが、容姿が両者とも整っていることだけは見てとれた。
それだけに、あまりにその表情がさまになっていることがわかる。
「それもそうよね。早く会ってみたいわあ〜。」
男の言葉で機嫌を直したのか、ご機嫌のようだ。
しばらく森の中を馬で進んでいた二人は異変に気づき、自分の馬をぴたりと止めた。
「ねえ、…………」
「…………ああ、わかっている。」
そのまま数秒の沈黙。
辺りの音は、風が葉を揺らす音、鳥の鳴き声、枯れ葉や落ち葉が風によってカラカラと動く音だ。