=寝ても覚めても=【完】
主の後について戻った病室では、時間に正確な宇治方先生が待ちかねていた。
仁科は申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、主は気にも留めない。
宇治方先生はどこに行っていた?とも聞かず、壁にかかる時計を指さした。
「直嗣・・二分、遅刻だ。俺の二分を返せ」
この人も無茶を言う。
主は動じなかった。
楽しそうに口の端を上げ、言った。
「返してやるからその時計からお前の二分を出して見ろ」
屏風の虎か。
「つまらんこと言ってないで早く来い」