=寝ても覚めても=【完】

袖で顔を拭って顔を上げると、心配そうな二つの顔があった。

主はやっぱり嘘泣きだった。


こいつ、あり得ない。


『いえ、すみません僕が驚いてしまっただけなんです』


その言葉を聞いて、主は嬉しそうに笑った。

宇治方先生は冷めかけた紅茶を見て、『あれか』と溜息をついた。


仁科の運命は決定した。




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