=寝ても覚めても=【完】

「あぶないですよぅ・・!」

「あっ!いいところに来た仁科っ」


悪いところに来てしまった。

昼食の後の薬がそのままになっていたから、探しに出て来ただけだと言うのに。



ハッとした表情でこちらを見た弥栄は、上に伸ばしていた手を下し、怯えたように仁科から後ずさった。


「何やってるんだ、あの人は・・・」

「伸びた枝を切っていらっしゃいます・・・・」

「それは君の仕事じゃないのか」


思わず、言葉に悪意が籠った。

こんなことを患者に弥栄が頼むわけがなく、主が勝手にやっていることなど明らかだが。


弥栄はシュンと俯いた。

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