=寝ても覚めても=【完】
「下から見て左右の感じどうー?こっちもう少し落とそうか?」
植木屋以外の大人が、木の上にいるところなど初めて見た。
大した高さではないが、主が落ちて怪我でもしたら、宇治方先生に任されている自分はどうするのだ。
「・・・良い感じです。完璧です」
ろくに見もせず、仁科は返した。
とにかく降りて頂くのが先決だ。
主は長い手の先の鋏を大きく伸ばして枝を叩き、首を傾げた。
「そうかぁ?この先の枝はない方がよくないか?」
「それも個性かと!」
こちらの返答が気に入ったらしい。