=寝ても覚めても=【完】
「・・・!?」
考えるより先に手が出ていた。
降ってくる大人の男など、自分ひとりで受け止められるわけなどないと言うのに。
しかもそれはとても余計なことだった。
仁科さえいなければ主は余裕で着地し、何でもないように手に着いた木片でもはらってことは済んだはずだった。
伸びてきた手に枝が折れた事よりも驚いた主はバランスを崩し、それでも仁科に体重を掛けないように自ら土に手をついてくれていた。
「・・・大丈夫?」
それはこちらの台詞だ。
恰好良く抱きとめたかったのに、恰好悪く男に乗っかられて押し倒されるとは。