=寝ても覚めても=【完】
それから数日、主は元気がなかった。
病人なのだから当たり前なのだが、なんだか普段無駄に明るい主がこうだと、仁科は自分まで気が滅入る気がした。
赤子の病状は落ち着き、生死の危機という状態ではなくなったらしい。
それは良かったと胸を撫でおろしたのもつかの間、
『疾患がある子供が後継ぎなんて認められません』
浩毅はそう言って仁科がいるのにも構わず主の前で泣き崩れ、問題は今の事だけではないのだと思い知ったところだった。
「全く情けない弟だと思わないか。あれが父親とは、子供の方が迷惑だと俺は思うね」
人間どもの事情など知らず、今日もお天道様は中庭に心地よく降り注いでいた。