=寝ても覚めても=【完】

それならば覚悟はできているだろうと思うのだが、自分の所にだけは起こり得ないと思うのも人として当然な事なのだろうか・・・。


「でもね、大丈夫なんですよ。赤ん坊はちゃんと、生まれる場所を自分で選んきてるんだそうです」

「・・・ふぅん、生まれる前に?」


主の表情は穏やかで、子供に寝物語を聞かせているかのようだ。

話しているのは弥栄の方だったが、そんな風に仁科には見えた。


「はい。母が心配して次に見に行くと、両親のどちらかが必ず、ちゃんと親の顔になっているんですって。どちらかがまだ落ち込んでいたとしても、その倍『自分がしっかりしないと誰がこの子を守るの!?』って気合はいっちゃってるんだそうです」


「うぉ、すごいなそれ・・・」


「そうなんです、すごいんですよ!そういう両親の元を選んで、病気の子は『ここになら僕が行っても大丈夫♪』って来てくれるんです。だからですね・・・」

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