=寝ても覚めても=【完】
今、仁科の存在に気がついたらしい。
しかもいつも怒られている可哀想な子キャラに自分がなっている事までわかってしまい、湧いたのは怒りよりも絶望だった。
でもそんなこと悟られてはならない。
「・・・・。ナオさんが何処に行ったか知りませんか」
「お天気が良いからお庭に行くと仰っていましたけれど」
有力な情報を手に入れた。
さすが自分が良いと思っていた女だ、と仁科は怒りを鎮めることにした。
でも絶望は尾を引いている気がした。
「ナオさんは君の担当じゃない。仕事中に行ったら駄目ですよ」
最後にさり気なく念を押して、足早にここも後にすることにした。