=寝ても覚めても=【完】
「え、そんな理由で退院させてくれなかったの・・?」
「うん、お前薬飲み忘れるし。入院してもらった方がここも儲かる・・・ってのは言っちゃならんと爺さんに言われているんだった。俺忙しいから、行くわ。名前決まったら教えてくれ」
宇治方先生はサラリと現実的な事情を暴露し、行ってしまった。
主の冷たい視線を背中に感じた。
お前もそれと知っていたのか?と言うところか。
「僕は・・・そんなこと聞いていませんよ?」
「・・・・・・・・」
主は手元に視線を落とし、一気に筆を走らせた。
『命名 現実』
半紙を飛び出す程の大きな字だった。