=寝ても覚めても=【完】

仁科はだいぶ我慢した。

しかし何日目かに堪忍袋の緒が切れた。


昼過ぎに来た数人の背広姿の男たちは、夜半になってようやく部屋を出て行った。



途中食事を持って行き、「薬は必ず飲んで下さい」と念を押した仁科に主は笑ったが、連中は話の腰を折られて露骨に邪魔そうな表情をした。


「連中は朝から晩まで何事ですか。ナオさんを病人だとわかってやってるんでしょうかね?」


主はベッドに疲れた顔を埋めていたが、怒りを含んだ仁科の声に笑って顔を上げた。


「実は病院に入る前も俺はだいぶ仕事をさぼっていてさぁ・・・家の仕事も浩毅に任せちまったし、新しくもうひと儲けしようかと企んでいるのよね」

< 68 / 102 >

この作品をシェア

pagetop