=寝ても覚めても=【完】

今までも長期の入院患者とは何人も心通わせるような間柄にはなったし、退院してからも通院のたびに自分を訪ねてくる患者もいる。


亡くなってしまってもう二度と会えない所に行ってしまった患者も。


しかしこの主に対する感情はそのどれとも違って、わけのわからなさにより一層苛つくのだった。

ここまで四六時中頭を離れなかった患者は初めてだ。





寝ても覚めても彼の事ばかり、恋をしているかのようだった。


「仁科さ、ここでの研修を終えたらどうするんだ?」

「どうもしません。まだ終えられるかもわからないので」

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