=寝ても覚めても=【完】

「ああ、なかなか良いみたいだよ。あの時の弥栄の神様の話は良かったな・・・・俺も子供が欲しくなった」

「そうですか」


主はだらしなく椅子の背にまわしていた手で弥栄の肩を掴み、身体ごと抱き寄せて間近で目を見つめ、囁いた。


「・・・俺と作ろうか、弥栄」


それで小声のつもりならば、世界の音が消えたに違いない。


弥栄は「ひぃ!」と叫んで逃げて行った。



健在だ。

素晴らしい。


「・・・振られた」


主は笑って空いた手首をまわしていた。

< 75 / 102 >

この作品をシェア

pagetop