=寝ても覚めても=【完】
「ああ、なかなか良いみたいだよ。あの時の弥栄の神様の話は良かったな・・・・俺も子供が欲しくなった」
「そうですか」
主はだらしなく椅子の背にまわしていた手で弥栄の肩を掴み、身体ごと抱き寄せて間近で目を見つめ、囁いた。
「・・・俺と作ろうか、弥栄」
それで小声のつもりならば、世界の音が消えたに違いない。
弥栄は「ひぃ!」と叫んで逃げて行った。
健在だ。
素晴らしい。
「・・・振られた」
主は笑って空いた手首をまわしていた。