=寝ても覚めても=【完】
最後に男の器の差までを見せつけられてしまったが、今度は本当に嫉妬すら湧かなかった。
可愛い彼女まで出来てしまい、仁科の時間はますます減った。
未だ入院中の現実の見舞いに行けば、もしかしたら主の様子くらい聞けるかもしれない。
けれどそれよりも、・・・。
自分が目指すべきものにたどり着く事の方が先のような気がした。
それをクリアもできないまま、顔を合わすことは意味がない。
「なんだか顔つきが変わったな」
渡り廊下を足早に歩いているとき、かけられた声に顔を上げると宇治方先生だった。