=寝ても覚めても=【完】





呆気なかった。

若葉マークも今日でお終いだ。

明日からは「外科医の仁科です」と名乗るのだろうか。

自分でないような気がする。




何とか時間を作って、久しぶりに年上の彼女と二人きりの食事に出て来た。


白衣も色っぽかったが、白衣を脱ぎ棄てた彼女はそれ以上の魅力、そして想像もしなかった行動力。


僕は初心なんです、とはもう口が裂けても言えない程、めくるめく世界を彼女には教えてもらってしまった。



仁科には彼女にどうしても言わなくてはならないことがあり、彼女もそれを覚悟している気配があった。

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