=寝ても覚めても=【完】
食事は仁科が医師になれたお祝いだと言って、彼女が奢ってくれた。
この時を他の誰でもない彼女と迎えられたことに、仁科はとても感謝した。
いつものように彼女の部屋まで送り、
「寄って行く?」
と聞かれる。
首を振ったのはこれが初めてで、予想していた返事に彼女は小さく笑った。
「...彬彦さんが今日会ってくれて嬉しかった。誰に負けたのかわからないけど、その人と幸せになってね」
....彼女には大きな勘違いを、されている。
そのことに少し戸惑った。