=寝ても覚めても=【完】



なんて大きなお屋敷なんだ。

訪れた洋館を見上げ、仁科は溜息が出た。


仁科の実家も裕福ではあったが、それなどさきほど見かけたこの洋館の離れに等しい。



荘厳なる門扉を潜って長い庭を抜け、異国の城のような玄関にたどり着いた。





「医師の仁科です。宇治方先生の代理で参りました」


対応に出てきたのは短いスカートの女中。

なるほど、これがメイドと言うものか。

なかなか可愛らしい。



白衣の仁科を見て、彼女は戸惑った顔をした。

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