=寝ても覚めても=【完】
「左様でごぜえますか....」
メイドの顔から笑顔が消え、同情の色が見て取れた。
主の扱いの大変さは、彼女も骨身にしみているに違いない。
仁科は初対面の彼女に、限りない親近感を持った。
「あのお子さんはナオさんの?」
子供がいるなんて聞いていない。
屋敷のメイドは『奥様と船旅に...』と言っていた。
「うん、びっくりしただろ?俺もびっくりした。」
なんだそれは。
あの大きさならば入院直前に仕込んだものと思われるが、生死をさ迷う手術の前に、一体何をやっているのだろう。