4人の嵐
そんなの嫌すぎです。
携帯どこやったっけ……。
今、移動教室から帰って来たんだけど、携帯がない。
『どうしたの?』
あたふたしている私を見て心配そうな顔をする唯。
「移動教室に携帯忘れたっぽい…」
『ついていこうか?』
「大丈夫っ、行って来るね」
急いで帰ってきた道を戻る。
教室に来たら、次の時間そこで授業を受ける生徒が2人来ていて、ちらほら他の生徒も集まりはじめていた。
「あ…」
最初に来ていた女の子2人はよく見たら同じ学年の女の子で。
確か…多田さんと矢部さんだっけ。
そして2人の手には見覚えのある携帯。
「それ…」
『あっ、これ坂倉さんのっっ?』
私に気付いた様子の2人は携帯を掲げて首を傾ける。
「うん、ありがとっ」
お礼はしたし、特に用事もないから帰ろうと思ったのに。
『あのさっ』
何か言いたげな言葉に足を止めて振りかえる。