線香花火【企・短】


「昔ナナミの部屋にあったクマの人形の腕、破いちゃったのはナナミのおじさんじゃなくて俺です…。」


「えっ!?」


「ごめんなさい…。」



私に向って頭を下げるレイ

忘れかけていた事件を思い出ささせた


私が小学生になってすぐ


近所の中学生のおねぇさんが修学旅行のお土産に買って来てくれた、子供が抱っこ出来るサイズのテディベア

薄茶色のフワフワの毛並みに黒い円らな瞳、赤いチェックのリボンがすごく可愛いクマちゃん

でも、いつの間にか切れてしまっていたクマの腕

ママに『パパが踏んじゃったのよ』と聞かされ大泣きしたのを覚えてる。



「レイだったの!?」


「もしかしてそれで…自分が修学旅行に言った時アレ送ってきたの!?」


「正解…。気付いてたのかよ俺が送ったって。
いつか俺が自分でバイトしてお前に買ってやろうと思ってた。」



照れくさそうにレイは呟く。



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