線香花火【企・短】


今、きっと今だったら言える

今じゃないと言えない


改まってはきっと恥ずかしすぎるから

今だったらサラッと言えるかも



この花火が落ちる前に

精一杯頑張る花火に力を貰って

今の自分の気持ちに正直に

今伝えたい



決意をした途端高鳴り出す私の小さな恋心


ドキン…ドキン…


鼓動が早くなって緊張まで高ぶる


ゴクッ…


美しくさく花火を見詰め私は息を飲む

そしてゆっくり深く息を吸って吐いて、また吸い込む



「今日ねレイがココを離れるって聞いてショックだった。
私ね、レイの近くに居たい。
レイの事…好きだから…。」


絞り出した私の気持ち

届くかな

レイに



恥ずかし過ぎてレイの顔が見れない


線香花火を持つ手がプルプル震えて、かっこわるい


せっかくキレイな火花を飛ばしてるのに、震え過ぎて火だねを落としちゃいそう。


言う前より、言った後の方がドキドキするんだな



「…あっ!」



バクバクと今にも爆発しそうな音を立てていた私の小さな恋心が線香花火に伝わったのか


線香花火が私の変わりに弾けた




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