線香花火【企・短】


グスン…


ゔ~哀しくなって来ちゃったじゃん…



「ナナミ!な~にたそがれてんだよ。
色気づいちゃってぇ。」



私を冷やかす声に気がついて後ろを向くと



「…レイ!
たそがれてなんかないよーだ。」



半泣き状態で振り返った私を見て微笑んだレイは私の横に腰を下ろした。


泣いてんのバレたかな?

薄暗いからバレてないかな?
バレたらめっちゃ恥ずかしいし



「懐かしいよな。
しょっちゅう遊んだよなこの海で。」



私が見る海と同じ海を見詰め言うレイ


ちょっと会わない間にその横顔がまた大人びた気がして、私はまた微妙に落ち込む。


レイばっかりどんどん先に大人になっていって

やっぱりズルイ



海を見るレイをむくれ顔で、じぃ~っと横目で盗み見る。

骨格がハッキリしたシャープな輪郭

キリッとした眉毛にサラッとした黒髪がかかって

その下には黒い瞳に、悔しい位に長い睫毛

すっとした鼻

チョッピリ薄めの唇

スポーツで鍛えたガッシリした肩…



小さい頃から知ってるレイなのに

小さい頃は一緒にこうして居ても



ドキドキなんてしなかったのに…




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