白×黒

【日奈子side】


正直言って、死ぬ程怖かった。
先生が殺された。いつも笑っていた先生。優しかった先生。皆が大好きだった先生。

「和音……」

絶望的な気持ちで和音の方を見る。
流石の和音も、この状況は理解し難いようだ。

――早くも、皆に辛い現実が突き付けられてしまった。
私は俯いた。その時だった。

「大丈夫か? 日奈子」

不意に、私の肩にぽん、と手が置かれた。驚いて相手を見る。海斗だった。

「海斗……」
「大丈夫だ。そんなに怯えるな。先生は死んだけど、外に出なければ俺達は殺されないんだ」

海斗はそう言い放った。
……何故、そんな無情な事が言えるのだろうか。

「でもっ……でも死んじゃったんだよ!? 先生がっ、先生がぁ……」
「いいから落ち着けよ。お前パニクり過ぎ。泣いたら余計ブスになんぞ」

海斗は溜め息を吐き、私の涙を拭った。そして大吾の方へ歩いて行った。
何よ……海斗はただ冷酷なだけじゃない……。そして海斗と大吾の話を盗み聞きする。

「おい大吾。しっかりしてくれ。お前じゃなきゃ白はまとまんないんだよ」
「あ、ああ……。そうだな。悪ぃな海斗。さんきゅ……」

海斗と大吾は拳をガッとぶつけ合わせた。
……ああ、海斗と大吾は親友なんだっけ。良いよね、そんなに仲が良いんだから。

そんな中、うっすら涙を拭いた大吾が皆に言った。
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