白×黒

「皆、今は食料と武器の確保を優先しよう」
「はぁっ!? あなた馬鹿じゃないですか!? 先生が死んで皆悲しいのに、良くそんな事が言ってられますわね!!」

ヒステリックになった夏目がそう叫んだ。
海斗は金切り声を上げる夏目に呆れたように言った。

「……今此処で泣いてたって何にもならないだろ。結果的に黒に全員殺られてはい終わり、なんて俺は嫌だぜ?」

海斗のその正論に夏目は悔しそうに黙り込んだ。
大吾は続ける。

「取り敢えず、男子は武器の確保。女子は食料の確保を行って貰う。女子の方には男子が一人着いてった方が良いな……」

大吾のその言葉に皆黙り込んだ。
……何だか、本格的な話になって来て気持ちが悪い。

鳥肌が立つ腕を押さえると、それに気付いたのか和音が優しく後ろから私の肩に手を回してくれた。

大吾は決意したように言った。

「……麗、悪いけど女子の方に行ってくれねぇか?」

皆で一斉に麗の方を見る。当の本人は未だにメールの画面から目を離し、少し怪訝そうな顔をして言った。

「……なんで俺?」
「麗は柔道習ってんだろ。幸い黒の方はあんま強い男子は居ねぇし。なっ、頼む!」

大吾は顔の前でパン、と手を叩いた。
麗はそんな大吾の姿を見て「……分かったよ」と返事を返した。

「うし、そうと決まれば行くか。じゃあ女子と麗はこのまま家庭科室行って。俺ら男子は大吾と一緒に武器を探しに行くぞ」

海斗はその場を仕切り、大吾と共に男子を引き連れてさっさと行ってしまった。
私は和音と一緒に麗の所まで行った。和音が麗の前で口を開く。

「……行こっか。麗」

麗は「……おう……」と、項垂れたように小さく呟き、歩き出した。
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