白×黒

俺はその或る物に一気に飛び付いた。
そして周りに誰も居ないか確認する。よし、誰も居ない。

俺は廊下に座り込み、その或る物をまじまじと見た。

それは正真正銘、紛れも無く『銃』だった。
短銃で横に弾が入った小さな箱も置いてある。てか……普通に廊下の隅っこにこんな物騒なもんが落ちてるとか……どんだけよ。

「れーい。どったのー」

不意に、ひょこっと和音が顔を出した。
俺は和音に「……後で話す」と小さく洩らした。和音は「分かった。あ、後食料一杯あるからね」と笑い、また顔を引っ込めた。

俺は手に持っている銃を再確認し、周りにもう何もないか確認した。案の定、何も無い。ずしんと手に響く重さだ。モデルガンなら何度も持った事はあるが、本物の威圧感が半端なかった。

「はっ……凄っげぇなぁ……あ、そうだ。大吾にメールしよ」

俺は慎重に銃をその場に置き、携帯電話を取り出した。
そして大吾宛にメールを打つ。



おっす。麗だ。
こっちは家庭科室に着いた。和音によると結構食料あるらしい。
んで。俺は廊下で短銃を見つけた。弾も落ちてた。多分あの影とかいう奴が用意した武器の一つだと思う。そっちはどうだ?

                      』


送信、と。
画面には無事に『送信しました』と文字が出た。
俺は一先ず安心し、見張りを続けることにした。
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