白×黒
「ねえ、これってセーフだと思う?」
上靴の踵を踏み付けたまま階段を全力疾走していれば息を切らした美加がそう洩らした。あたしは汗を拭い、長い廊下を一気に駆け抜ける。
そして1年C組の教室の前まで着いた。日奈子がのん気に笑って言う。
「此処まで来ればもうだいじょ――」
キーンコーンカーンコーン……。
その途端、絹を裂くようなチャイムの音が響いた。
「……ギリギリアウト」
あたしはそう苦笑いをして教室の扉を開けた。
何かが可笑しかった。いや、普通だったのかもしれない。
ただクラスの全員が席に着き、一言も何も発さずに黒板を見つめている。先生が居ない。異様だ。
あたしと美加と日奈子はそろそろと自分の席に着いた。
溜め息を吐き、ちらりと黒板を見たあたしは息を飲んだ。
黒板に書き殴られたようにこう書かれていた。
『白』『黒』
そして、
『殺し合い』の文字――――。
「……何、これ…………」