白×黒
そして光輝と数cmという距離まで近付き、光輝に言う。
「悪いね。先を急いでんだ」
「ありゃ、そりゃあ残念。でもさぁ、俺達食料探しに来たんだよねえ。でも何? 白の女子が全部取っちゃった訳? そりゃねえぜ?」
「黙れ。退け」
俺は光輝の話なんて一切聞かずにそれだけ言った。
光輝は俺のその言葉にムカついたのか、俺の胸倉を掴んで言った。
「あんま調子乗ってんじゃねぇぞ……。なあ麗ィ、俺達敵同士なんだよな? 殺し合いしても良いんだよなぁ? ……お前さぁ、撲殺で良いかぁ?」
光輝は嫌らしくニヤニヤと笑い、拳を用意していた。
ああ、だからこいつは嫌いなんだ。何でも暴力で解決しようとする。頭を使え糞野郎。
俺は溜め息を吐き、ポケットへ手を入れた。本当は出したくなかったんだけど……。そして一言呟く。
「じゃあ光輝、お前は射殺で良いか?」
そして短銃の銃口を光輝の眉間へとくっ付けた。
光輝はその銃を見て先程まで見せていた余裕の笑みを消し、恐怖に塗れた表情を作った。そして苦笑しながらも震えた声で言う。
「お、お前……それ、作り物なんだろ? 分かってんだよ……」
「ざぁんねん。作り物じゃねぇんだ。試してみようか?」
光輝は一気に俺の胸倉を掴む力を緩め、「ひっ……! 殺さないでくれ!」と腰を抜かした。
……まあ此処までビビらせれば良いか。俺は光輝の横を通り抜ける。そして翔也と拓斗にもガンを付けた。案の定、凄くビビっている。
「さ。大吾が待ってる。行こうぜ」
そう言って俺は女子達の方へ向き直った。
全員口を半開きにして「信じられない」という目で此方を見ている。……まあ面白かったから良しとしよう。