白×黒
ざわ。ざわざわざわ。
一瞬で鳥肌は立っていくのが分かった。
「え……」
私は声を上げていた。一斉に皆が此方を向く。私は慌てて口を塞いだ。
影はまた先程のようにふざけた口調で言った。
『あははっ、驚いた? 驚いたよね? 大丈夫、心配しないで! 今から君達にはクジを引いて貰うよ? そこには白と黒と文字が書いてある。君達はその書いてあった方のグループに入って貰うよ! それじゃあもう後は分かるよね? そう! 白と黒で殺し合いをして貰うのさ!!!!』
何を、言って、いる、ん、だ?
この、影という、男は、何、を、ふ、ざけた、ことを、言、って。
「ざけんな……ざっけんなよ!」
その時、クラスの男子の中でもリーダー格の大吾が声を上げた。
影は笑いながら言った。
『あああ怖い怖いっ! でもふざけてないんだよぉ? これはとおっても大切なことなんだからぁ? くすくすくすっ』
まるで聞く耳を持たない影。そして続けた。
『戦う為の武器は学校中に隠しといたよ。でも全員分なんて無いんだから甘えてちゃ駄目だよぉ? 食事も校内に隠しといた! でもそんなに量ないからねぇ? あははははっ! じゃあ皆死なないようにねっ! そこに居る君達のだぁいすきな先生からクジを貰ってねぇ!!!!』
それだけ言って影は放送を切った。
暫くの間誰も何も言わなかった。けれどその静寂は先生の咳払いによって断ち切られた。
先生はクジが入ったであろう箱を持っていた。そして出席番号一番の智に言った。
「青野、お前から引け。後の奴らも出席番号順に引くんだ」
智は力なく項垂れた姿で「はい……」と静かにクジを引いた。
智より後ろの出席番号の皆も無言でクジを引いて行く。
私の番になった。