白×黒
私は目を瞑り、一気にクジの中に手を入れて適当に紙を引っ張り上げた。
「真田。誰にも見られないようにしろ。自分だけ確認するんだ」
先生は私にそう言った。私は頷く。
周りに誰も居ないか確認し、私はゆっくりとクジを開いた。
――――『白』。そうワープロで打ったように書かれていた。明朝体だ。
「白……」
私は誰にも聞こえないように小さく復唱した。
すると、前からクジを握りながら美加が歩いて来た。
「和音……どっちだった?」
――そうだ。此処で美加と違ったら、私は美加と殺し合いをしなければならない。それはとても悲しい事だ。でも……。
私は覚悟を決め、言った。
「白、だったよ、」
そして美加の反応を伺う。
美加は少し俯き、そしていきなり私にぎゅっと抱き付いて来た。
「わっ!? ちょ、みか……」
「私もっ! 私もそうだよ! 和音とおんなじ!!」
その言葉を聞き、私は涙腺が一気に緩んだ。戦わなくて良いんだ……!
私は美加を抱き締め返し、「良かったぁ……」と小さく呟いた。
すると日奈子もやって来た。「どうだった?」と聞く。私は「白だよっ」と言った。
不意に日奈子の表情も明るくなった。
そして自分が持っていたクジを開いて私に見せた。そこには紛れも無く『白』の文字。
「私もっ! 私も白だった!」
「マジ!? 三人共!? やばいっ、運命じゃないっ!?」
私達は三人で抱き合った。
私達を憎悪の瞳で見つめるあの人の視線に気付かないまま――。