神隠し
「本当にその子供だったのかなぁ」

などと呟きながら、屋敷の周りを歩いていると、裏側に小さな社を見つけた。

小走りで近付いてみると、どうやら屋敷とは背中合わせのように建てられている。

だから鳥居も家とは逆方向にあった。

でも…ここでも同じだった。

森の入り口のお地蔵さんと同じで、お供えされた水とおまんじゅうが置いてある。

同一人物がやったことかな?

社も鳥居も年季は入っていたけれど、ボロイというところまではいかなかった。

手入れがされている。

こういう田舎町では、森の中の神様まで大切にしているのか。

そんなことを考えながら、鳥居を潜り、社を覗いて見る。

社の中には、小さなお地蔵さんがいた。

優しく微笑んでいるけれど…どこか薄ら寒く感じるのは何故?
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