神隠し
でもとりあえず、何かお供えしたほうが良いのかもしれない。

屋敷の中では、仲間達が肝試しなんかしているし…。

…そう言えば町の中を歩いてて気付いたことだけど、この町には神社やお寺を見つけられなかった。

もしかしたら町外れにあるかもしれないけど、でも電柱や案内板があってもおかしくはないのに…。

不思議に思いながらも、カバンからお菓子をいくつか取り出した。

チョコ、クッキー、アメ、ポテチ…。

おっお供えになるのって、アメぐらい?

でもこのアメ、ジュース味だしなぁ。

本当はお饅頭や金平糖など、ちょっと昔の和菓子も持ってきていた。

けれど仲間達全員に配ってお終い。

手持ちは安っぽい洋菓子しか残っていない。

途方に暮れていたせいか、背後の気配に全く気付かなかった。

―ねぇ、お菓子くれない?

「えっ?」

慌てて振り返ると、2人の少年がいた。

まだ12歳ぐらいだろうか?

1人はニコニコしていて、1人はブスッとしている。
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