神隠し
屋敷から出て、門をくぐった時、夕日の眩しさに目が一瞬眩んだ。

すでに外は夕方色に染まっていた。

入った頃はまだ、お昼過ぎだったのに…。

「随分…時間が経っちゃったのね」

―この屋敷には、時間なんぞ関係ないからな。

―まっ、戻って来れたのが『今日』なだけ、ラッキーだよ。今なら電車にも間に合うし。

そう言って、2人の少年は手を離した。

冷たい2人の手のおかげで、アタシの心も静かになっていた。

「…ねぇ、アタシの仲間達はどうなったの?」

―あの人達はすでに、彼等の仲間だよ。

笑顔の少年に言われた言葉に、思わず意識が飛びそうになった。

…いや、予想はしていたことだった。

「なら…どうしてアタシは無事なの? …いえ、見逃してくれたの?」
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