神隠し
女性が料理を運んできたので、会話は一時中断した。

そのまま食事を終え、食後の飲み物を男性がご馳走してくれた。

仲間は素直に喜んだものの、どうやら男性は足止めをさせたいらしい。

アタシ達に、この町に伝わる話を語り出したから。

この町には昔、幼いながらも頭が良い子供が1人いた。

その子供は大地主に気に入られ、その家の養子となった。

おかげで町や大地主の家は大変栄えた。

ところが大地主には多くの妻と子供がいて、養子となった子供を歓迎はしていなかった。

なので大地主が他の町へ行っている間に、子供を殺そうとした。

だがその目論見は失敗した。

大地主が家に帰ると、そこに生きている者はいなかった。

全員、殺されていたのだ。

その子供以外は―。
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